まき爪

Ingrown toenail

症状

「巻き爪」とは、爪の両側あるいは片側の端が内側に向かって強く巻き込んだ状態の変形のことを指します。足の親指によく見られます。巻き爪の縁は、爪の下や周りの皮膚を傷つけやすく、細菌感染も重なると、ひどく炎症を起こした状態である「爪周囲炎」を起こしてしまいます。足の指先に痛みを感じたり、靴を履いての歩行時に痛みが強くなり、歩きづらくなることもあります。また、爪を切りにくくなることもあります。また、巻き爪を短く切りすぎてしまうと、爪の端が周りの皮膚に深く食い込みやすくなり(陥入爪)、炎症による腫れや赤み、痛みがより強くなります。生活に支障がある時は、早めに医療機関を受診しましょう。

一方、「陥入爪」とは、爪の先端が周囲の皮膚に刺さって炎症を起こした状態です。巻き爪があると起こりやすいのですが、巻き爪がなくても起こります。症状が進むと爪の横に肉が盛り上がり、容易に出血します。このような状態になってしまったら、早めに医療機関を受診しましょう。

原因

巻き爪や陥入爪が起こる原因には様々なものがあります。主には、爪に加わる力のバランスが崩れてしまうことです。爪が横から強く圧迫されたり、逆に爪が下から受ける力が弱くなったりすると、爪の端が内側に向かって巻いてしまいます。巻き爪や陥入爪が起こる原因には様々なものがあります。主には、爪に加わる力のバランスが崩れてしまうことです。爪が横から強く圧迫されたり、逆に爪が下から受ける力が弱くなったりすると、爪の端が内側に向かって巻いてしまいます。

①足に合わない靴は避けましょう
先端が窮屈な靴や足の形に合っていない靴を長時間履くと、爪が靴によって圧迫され続け、爪が折れ曲がりやすくなります。ご自分の足にきちんと合った靴を選びましょう。

②足の指に力がかからない状態が続いている
高齢者や病気療養などの理由で、足に体重が加わる機会が少ない人や、足の指を地面につけないまま歩行する人(浮き指)は巻き爪になりやすいといわれています。歩行時、足の指が地面からの力を受けることで、爪の形はアーチ型に保たれます。この力が不足することによって、爪が丸く変形してしまうと考えられています。また、元々足の変形がある場合も、足の指に正しい方向から力が加わらないために、巻き爪になりやすくなります。

③間違った爪の切り方
爪を短く切りすぎると(深爪)、爪の両端が皮膚に埋もれやすくなり、爪の両端が皮膚に押されることで巻き爪が進行しやすくなります。深爪をすると爪の端が十分に切れず、「とげ」ができます。 この状態で幅の狭い靴を履いたり、ぶつけたり、激しい運動をすると爪のとげが刺さり化膿してきます。

④その他
爪の水虫(爪白癬)や骨のできもの、内服中の薬剤などが影響する場合もあります。   

注意点

陥入爪の予防策は「深爪をしない」ことです。 足の爪を切る時に、爪の先を少しだけゆび先より出るように残し、爪を四角く切ってください(スクエアオフカット)。 また、合わないサイズの靴を履き続けたり、激しい運動をしたりするのも避けましょう。 爪のトラブルを予防するため、普段から足のお手入れ(フットケア)を行いましょう。 毎日きちんと洗い、清潔に保つことが大切です。 巻き爪になると、爪の周りや爪の下に古い角質や汚れが溜まりやすくなります。これが痛みや炎症の元になることもあります。足を爪の先まで擦りすぎず、丁寧にきれいに洗いましょう。 週に2−3回、足用のブラシでブラッシングを行いましょう。また、爪や爪の周りの皮膚が乾燥すると、爪が割れたり、ささくれができやすくなります。爪には皮脂による保護膜がないため、乾燥しやすくなっています。皮膚と同じように、爪も保湿を行いましょう。

治療方法

コットンパッキング

痛い時、症状が軽い場合には、爪の端と皮膚の間に綿を詰めることで、当たっている爪を浮かせます。

爪切り

肉が盛り上がり化膿しているときには、爪をやや大きめに斜めに切り、爪のとげが刺さらないようにします。

ワイヤー法

まき爪の矯正にはワイヤーを用いた治療を行います。
ワイヤーが真っすぐに伸びようとする力を利用して爪を平らに矯正します。
利点は、痛みがない事、不具合が生じたら取り外しも容易で挿入も短時間でできる事です。
症状が軽ければ、プレートを使用する場合もあります。
爪が短すぎる場合は、人工的に爪を作製する事もあります。
痛みが無く、通院も頻繁ではないので最初の治療としてはお勧めです。

フェノール法

陥入爪に対する手術法です。炎症が起きている状態でも施行できます。 対象とするゆびに、局所麻酔を行います。爪の縁を爪の根っこから切除して爪の幅を狭くします。 その後、爪の根っこ(爪母)にフェノールという薬品を塗ってしばらく待ちます。薬品を中和後、洗浄して終了です。 術後の痛みが軽いのが利点です。まれに小さな爪が再生したり、爪の伸びる方向が変わる事があります。 直視して爪母を腐食させられる訳ではないので、再発の可能性があること、正常の爪母や爪床がフェノールの影響を受けて爪が変形するリスク、感染が残存してしまうリスクがあります。術後は、爪の幅が若干細くなります事をご了承ください。 ※保険診療になります。

切除術

対象とするゆびに局所麻酔をします。爪の縁を爪の根っこ(爪母)から切除して爪の幅を狭くし、その後皮膚を縫合します。 術後は1~3週間で糸を抜きます。フェノール法と比べて、爪の根っこの切除範囲を限定する事ができますが、出血は多少多くなります。術後はしばらく痛みが続きます。まれに爪の根っこの細胞が再生すると、小さな爪が伸びてくることがあります。 ※保険診療となります。